左脳に言語機能があるということはよく知られています。
では、右脳が言語の処理を全くできないのでしょうか?
実は、右脳にも言語機能はあって、語彙でいうと10歳程度の理解度はあると考えられています。
脳損傷とリハビリ
脳梗塞などで脳が損傷されると、手足が麻痺したり、言葉処理ができなくなったりします。
症状の出方が違うのは、脳の各領域で担当する機能が違うからで、これを脳の機能局在と言います。
脳のどの領域が損傷を受けるかで、失われる機能も変わるのですね。
脳梗塞などの損傷は、右脳と左脳で左右対称に同じ脳領域で起こることはあまりないので、障害に左右差があると、脳の損傷が疑われます。
一旦失われた機能でも、リハビリテーションによって機能がある程度回復することもあります。
それは、損傷を受けた脳領域の周囲が、失われた機能の肩代わりをするからと考えられています。
また、右脳と左脳で肩代わりをする場合もあるようです。
例えば、左脳の損傷で失われた機能を、右脳でそれに対応する領域が肩代わりをしたり。
肩代わりというと、ああそうか、と簡単に思ってしまうかもしれませんが、実際には、脳の配線を組み替えているわけで、大変な作業をこなしているのです。
しかも、それを誰の指示を受けるでもなく、脳が自発的にやっているのですから、驚嘆に値します。
右脳も言語機能を果たせる
左脳にあるブローカ野(運動性言語野)が損傷されたケースで、右脳の同じ位置に相当する領野が機能代償、つまり肩代わりして、機能を回復したことを示したものがあります。
その論文では、英単語の最初の3文字だけ表示して、その単語を推測して口頭で答える単語当て課題を被験者に与える実験をしています。
健常者がその課題をやっているときの脳活動をPETで調べると、左脳のブローカ野が強く活動していました。
また、おでこの上に位置する補足運動野(SMA)の活動も強くなっていました。
脳梗塞で左脳のブローカ野あたりを損傷した72歳右利きの男性に、リハビリで言語機能がそこそこ回復した段階で同じ課題に取り組んでもらいました。
すると、右脳のブローカ野に相当する脳領域が強く活動していることが分かったのです。
左脳の言語機能を右脳が機能代償したのですね。
右脳も言語機能を担えるのです。
左脳だけでは言語機能を充分に果たせない
言語機能に関しては、左脳が優位に働くことに間違いはありませんが、左脳と右脳が連絡しあって処理しているようです。
実際、右脳損傷で、失語症とまではいかなくとも、暗示的なニュアンスが捉えにくくなったり、いろいろな意味がある言葉のマイナーな意味の処理が弱くなるといった報告もあります。
このように、言語機能は左脳だけに限定されるものではなく、右脳にも大いに関係していることが分かります。
右脳も言語機能に必要、というお話でした。
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では、また!
(了)
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