前回、ニューロンの情報伝達をについて、ちょっと書きましたので、もう少し続けてみましょう。
武永隆の脳ブログ「コカインは回収口を塞いで異常をもたらす」2016/9/14
脳にはたくさんのニューロンという細胞があり、複雑なネットワークを組んで情報処理します。
神経伝達物質が送り手のニューロンから放出されそれが、受け手ニューロンの受容体にくっつくことで情報が伝達され、余った神経伝達物質はすぐさま送り手ニューロンに回収されます。
コカインは、その回収(再取り込み)の邪魔をして神経伝達物質である、ドーパミンをニューロンの接続部に漂わせ続けるのが問題だったのでした。
「回収」は漂わせない強力な仕組みの一つですが、別な少しマイルドな手段に「分解」があります。
今回は、その分解に関わるお話。
神経伝達は「鍵」と「鍵穴」で
ニューロンから放出された神経伝達物質は、受取るニューロンの細胞表面にある「受容体」という構造物にくっつく、と書きました。
でも、これ、適当にくっつくのではなくて、ピタッとはまります。
神経伝達物質(分子)の形が大事で、伝達物質=鍵、受容体=鍵穴 に例えられます。
ここで、トリックが起きます。
体内で作られた分子は大丈夫なのですが、体外で作られた、そっくりさんが問題。
分子の形が少し違っていても、なりすまして鍵として作用してしまうのです。
乱用薬物には、このなりすましを使って作用するものがあります。
中毒を起こす乱用薬物はよくないですが、実は、似たものが脳の中で作られています。
それは、脳内麻薬。
エンドルフィンやエンケファリンです。
これらの神経伝達物質は、放出されても、すぐに分解されるのでちょっとの間だけ効いて、問題はありません。
なりすましで作用するモルヒネ
ところが、エンドルフィンなどに似ていて、体外で生成されたそっくりさんの薬物で、なかなか分解されないものがあります。
それが、モルヒネ。
分子構造がエンドルフィンなどと似ているため、それら専用の受容体にくっついてしまい、過度に鎮痛や陶酔感をもたらしてしまいます。
体内で作られた分子と異なってり、分解が遅く、シナプスの接合部に長時間に渡って漂います。
この性質を使って、がんなどの慢性的な痛みを緩和するためにも使われています。
今回のポイントは2つ。
1)神経伝達物質は、余ったとき、「回収」の他に「分解」されるものもある。
2)神経伝達物質に似た構造で作用する薬物があり、なかなか分解されない。例えば、モルヒネ。
ということでした。
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
武永隆の脳ブログ 「類人猿分類でコミュニケーションをステップアップ」
武永隆の脳ブログ 「対人関係改善に、岡田斗司夫の4タイプ分類」
無料メルマガ 武永隆の【1分脳コラム】
ご登録はこちら ↓↓↓↓↓
https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=businesscom
ブログランキングに参加しています!
にほんブログ村