幸福感を脳で調べる?
アナタは幸せをよく感じる方ですか?
そもそも、幸せって、何でしょうね。
幸福感は主観的な体験で、きっちり定義できるものでもなさそうな気もしますが、幸せを感じることがあるのも、また事実ですよね。
どうやら、脳を見ることで、幸福感が強い人かどうかを客観的に知ることができるようなのです。
脳研究でよくあるのは脳の「活動」を調べる実験で、fMRI、PET、NIRS、MEG などを使います。
実際には、血流の増加で活動の強さを見るのですが、病院の検査などではあまり使われません。
一方、脳の「構造」を調べるときに使うのは、検査でもよく使われる、MRI や CT。
今回ご紹介する京都大学他の研究グループの論文では MRI を使って脳の構造を調べています。
幸福感が強い人ほど、右楔前部が大きい
まず、それぞれの被験者について幸福の度合いを質問紙で調べます。
そして、MRIで個々の脳の構造を詳しく測りました。
すると、幸福感が強い人ほど、脳のある領域が大きいということが分かりました。
そのある領域とは、右脳の楔前部(けつぜんぶ)。
頭頂葉の一番後ろに位置し、後頭部に接する領域です。
「楔」は、「くさび」のこと。
楔部(けつぶ)という脳領域もありまして、その前側にあるのが楔前部です。
楔部というのは、後頭葉にあって、後頭葉に「くさび形」にはめ込まれたような領域なので楔部といいます。
ちなみに、楔部は一次視覚野の一部です。
その楔部より頭のてっぺん側、つまり、前側にあるので楔前部なのですね。
せっかくですから、Wikipedia で位置をご確認ください。
楔前部は、意識の明晰さで活動が変化することも知られていて、主観的経験の形成に関与すると考えられています。
また楔前部は、脳内のいろいろな部位から情報が集まる領域でもあります。
というわけで、楔前部は、感情的・認知的な情報を統合して主観的な幸福を生み出すのに適した部位だと言える、と論文の著者らは指摘しています。
なお、今回の実験では、幸福感の強さだけでなく、ポジティブな感情を強く感じ、逆に、ネガティブな感情は弱く感じるとか、また、人生の意味を見出しやすい人も、この楔前部が大きいことも分かりました。
より幸福感を感じるためには瞑想が効果的
さてさて、より幸福感を感じるには、楔前部を大きくすればよい事になりますが、そんなことはできるのでしょうか?
実は、瞑想すると楔前部が大きくなることが別の研究で分かっています。
Kurth F, Mackenzie-Graham A, Toga AW, Luders E (2015)
“Shifting brain asymmetry: The link between meditation and structural lateralization”
Soc. Cogn. Affect. Neurosci. 10: 55–61.
それから、ヨガをベースとした瞑想が幸福感を強めることも知られていて、瞑想の効果もまんざらではなさそうです。
Sharma R, Gupta N, Bijlani RL (2008)
“Effect of yoga based lifestyle intervention on subjective well-being”
Indian J. Physiol. Pharmacol. 52: 123–131.
瞑想トレーニングで脳の楔前部を大きくして幸せをより感じましょう。
【原論文】
Sato W, et al. (2015)
“The structural neural substrate of subjective happiness”
Scientfic Reports 5: 16891
doi:10.1038/srep16891
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
武永隆の脳ブログ「類人猿分類でコミュニケーションをステップアップ」
武永隆の脳ブログ「対人関係改善に、岡田斗司夫の4タイプ分類」
無料メルマガ 武永隆の【1分脳コラム】
ご登録はこちら ↓↓↓↓↓
https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=businesscom
ブログランキングに参加しています!
にほんブログ村