美しいと感じているときの脳活動?
「美しい」という感覚は人それぞれ。
しかし、例えば、色鮮やかな夕焼けや新幹線の車窓から見える富士山のように、多くの人に共通して感じられる美しさがあるのも事実ですね。
美的感覚には、
普遍性の高い客観的な要素
個別性の強い主観的な要素
の2つがありそうです。
美しいという感覚と脳活動の関係を調べた実験
美しいと感じるとき、脳はどのような活動をしているのか?
そんなことを調べた、2007年の論文を簡単に紹介しましょう。
ちなみに、この論文を書いたのは、リゾラッティ博士の研究グループです。
リゾラッティって、ミラーニューロンを発見した、あの?
はい。そのリゾラッティ博士です。
実験では、彫刻などの画像を見せて、fMRIで脳の活動を計測しています。
見せる画像は、ギリシャ彫刻の全身像を画像処理でデフォルメしたもの。
ギリシャ彫刻が美しいと感じる要素として、体のパーツの長さが黄金比になっていることが指摘されています。
ちなみに、黄金比というのは、もっとも美しい比率だとされ、具体的には、1:(1+√5)/2。
分かりやすくいうと、1:1.62 とか、5:8。
例えば、ミロのビーナスは、おへそが全長を5:8に分割します。
実験で使った画像は、体のパーツの長さを変えてそういった比率を崩したそうです。
島皮質と扁桃体が活動していた!
実験結果はどうだったでしょうか?
美術館で見るように眺めるだけだと、画像処理する前のオリジナル画像を見ているときだけ、右脳の島(トウ)皮質の活動が強かったようです。
島皮質は、脳のちょっと潜り込んだ所(外側溝の奥)にあり、情動とも関わりが強いことが指摘されていて、近年、注目されている脳領域の一つです。
次に、美しいと感じるかどうか判断してもらうときには、右脳の扁桃体の活動が強かったとこのと。
扁桃体は、もっと深い所にある脳領域で、感情の経験と関係があるとされます。
一つ目の結果で見られた、無意識に感じている比率やバランス感覚といった美しさは島皮質が処理していて、普遍性の高い客観的な美的感覚と関係していると考えられます。
二つ目の結果で見られた扁桃体の活動から、美しいかどうかを具体的に判断するには、主観的な経験と照らし合わせた、個別性の強い主観的な美的感覚が効いているようです。
美しいと感じているかどうかも、脳の活動を調べると分かってしまうのですね。
【原論文】
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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