ストレスとの付き合い方
ここところ、M都知事が政治資金の使途などの疑惑でやり玉にあげられていますね。
会見での苦しいやり取りを見ていると、かなりのストレスがかかっているものと思われます。
ヒトは誰しも何らかのストレスと常に付き合っているもの。
ストレスは単に「悪」ではなく、成長の糧になったりもします。
しかし、過度のストレスは辛いですし、不安や抑うつなどの精神症状だけでなく、胃潰瘍や高血圧などの身体症状まで現れてしまうこともあります。
ストレスに過敏な人もいれば、ストレス耐性が強い人もいます。
ストレス耐性が強い人は、ストレスを意識的にうまく対処できていたり、本人が気づかない無意識のレベルでうまく対処されていたりしています。
意識的に対処する方途として、ストレスコーピングという言葉もよく聞かれるようになりました。
ストレス対処行動のことですが、簡単に言うと、状況の捉え方を変えて前向きに対処するとか、全く違うことで気分転換や発散することなどがあります。
自動的に自分の心を守る精神作用(防衛機制)
ヒトの精神機能には、無意識にストレスを処理するはたらきもあると考えられています。
それが、防衛機制。
日本語では意味をくみ取りにくいですが、英語ではシンプルに defence mechanisms(防衛メカニズム)と言います。
元々はフロイトが創案した精神分析の用語で、自分の心を守る自動的な対処システムのことです。
防衛機制には、合理化、反動形成、抑圧、転換、否認、置き換え、投影、取り入れ、同一化、昇華、退行、補償、解離、行動化といった様々なものが含まれます。
例えば、「合理化」とは、どんなことでしょうか。
イソップ寓話の『すっぱい葡萄』では、キツネは頭上に実った葡萄を採ろうと頑張ったけれど失敗して、「どうせあの葡萄はすっぱいだろうから食べなくてよかったんだ」と思うようにします。
曲がりなりにではありますが採れなくてよかったことを「合理化」することで、失敗してしまったストレスに対処したと考えられるのです。
反動形成:本心とは真逆の行動をとって自分の心を守る
冒頭のM都知事も、防衛機制でストレスに対処しているようにも見受けられます。
その一つが、会見で記者の質問に対して、耳のそばに手を置くという大袈裟とも言える仕草。
あれ?どこかで見たような。。
そう、元県議の号泣会見。
防衛機制の反動形成とは、ストレスで感じた本心とは逆のことを言ったり行動したりすることです。
ストレスのかかった状況は、本来は嫌で避けたいのに避けられないから負担になります。
しかし、それを逆に嫌なことではなく、むしろ、そうしたいと思い込むことでストレス対処しようとするのを、反動形成と言います。
本心とは真逆ですので、言動や行動がかなり不自然なものになってしまいます。
異様に丁寧だったり、大袈裟だったりしてしまうのです。
M都知事が見せた、耳のそばに手を置く大袈裟な仕草はどう解釈できるでしょうか?
強いストレス状況から逃れたくて、「こんな会見したくない」「記者の質問なんか聞きたくない」と思ったことでしょう。
そのとき、M都知事の脳では、防衛機制の反動形成が無意識レベルで起動して、本心とは正反対の態度、つまり、しっかり聞いてしっかり答えようとしている自分を作り出したと見ることもできるのです。
誰かが大袈裟な仕草をしていたら、ちょっと気をつけてみましょう。
それは「反動形成」に過ぎず、本心は真逆の可能性が割とありますので。
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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