損失回避はとても普遍的な心理です。
要は、持っている物は手放し難いということ。
捨てられないわけです。
まず、カーネマンの実験とクネッチの実験で、損失回避を簡単におさえておきましょう。
そして、断捨離が脳にもよいことを考えてみます。
カーネマンの「マグカップ実験」
カーネマンの「マグカップ実験」も損失回避の例としてよく知られています。
被験者に、あるマグカップを見せていくらだったら買うかを聞いてみました。
すると、平均で 2.87ドルでした。
今度はそのマグカップを被験者にあげて、それを他人に売るとしたらいくらにするかを聞きました。
いくらだったと思いますか?
平均で 7.12ドルと答えたのです。
買うと言った値段の倍以上ですよ。
儲けたい気持ちもあるでしょうが、基本的な心理として、自分の物を失うのがもったいないという
損失回避がはたらいたと考えられます。
Daniel Kahneman, et al. (1990)
“Experimental tests of the endowment effect and the coase theorem”
Journal of Political Economy 98: 1325-1348.
クネッチの実験
もう一つは、クネッチ(Jack L Knetsch)の実験です。
アンケートに答えると商品がもらえることになっていて、その商品を学生の前に置いておきます。
あるクラスでは、マグカップを商品にしていたのですが、アンケートが終わったときに、
それをチョコレートに変えてもよいと提案します。
その結果、76人中 68人(89%)が交換しませんでした。
別のクラスでは、先ほどのクラスと商品を入れ替えて、まず、チョコレートを見せておきます。
そして、後でマグカップに変えてもよいと提案。
このクラスも、87人中 78人(90%)が交換しませんでした。
ちなみに、商品はどちらでも選んでよいとしたら、マグカップが56%、チョコレートが44%と
ほぼ互角でした。
つまり、もらえると思っていた物を手放すのは難しいという、損失回避の心理がはたらいたのですね。
Jack L. Knetsch (1989)
“The endowment effect and evidence of nonreversible indifference curves”
The American Economic Review 79(5) 1277-1284.
断捨離で脳もすっきりと
このように、損失回避は、本当に普遍的に見られる心理なのですね。
持っているものを手放し難い。
あまり着なくなった服でもまたいつか着るかもしれないとか、しばらく使わなくなった物でも
また使うことがあるかもと、結局捨てられずにどんどん「財産」が増え続けていませんか?
「財産」は脳の片隅も占めますから、「財産」が増えると脳の容量も食います。
断捨離してスッキリするのは、同時に脳も断捨離できているからと考えられます。
ヒトは、そもそも捨てられないものなのだと認識して、積極的に断捨離をすることで
脳もスッキリさせて、ビジネスに集中できる脳環境を作りましょう。
(了)
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