充分な睡眠をとれていますか?
疲れを溜め込まないようにしたいですね。
各国の睡眠時間は?
アメリカのミシガン大学の研究グループがスマホのアプリを開発し、世界100カ国で数千人の睡眠時間を調査して論文で報告しています(2016年5月)。
http://advances.sciencemag.org/content/2/5/e1501705
その結果、平均睡眠時間はシンガポールが最短で、日本は2番目に短く7時間半だったとのこと。
日本人の平均就寝時刻は午後11時過ぎ、平均起床時刻は午前7時前だったそうです。
ちなみに、長く寝る国は、オランダ、フランス、ベルギー、ニュージーランド、オーストラリアなど。
長いと言っても8時間前後なので、あまり変わりませんが。
大雑把に言って、ヒトは1日8時間ほど寝ているようです。
1日の3分の1も寝ているのですが、何のために寝ているのか、まだよく分かっていません。
レム睡眠とは
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠があると分かったのは、1953年のこと。
レム睡眠とは、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)を伴う睡眠です。
脊椎動物でも、哺乳類と鳥類にしか見られません。
体は休んだ状態ですが、脳は覚醒していて、夢を見るのはこのレム睡眠のときが多いとされます。
就寝すると、ノンレム睡眠で睡眠レベルが深くなっていきます。
一旦深くなると、今度はだんだん浅くなって、レム睡眠となります。
レム睡眠は、10~20分程度続き、およそ90分の周期でまたレム睡眠となります。
一晩に4、5回起こるようですが、睡眠のリズムは個人差やその日の体調によっても大きく変わります。
レム睡眠は、新生児で長く、年をとるにつれて短くなっていくようです。
レム睡眠はスキル獲得に大事
レム睡眠は、スキル獲得にも関係があるようです。
イスラエルの研究グループが、間違い探しのような視覚探索課題を数日続けてスキル獲得の様子を調べる実験を行いました。
練習で獲得したスキルは一晩寝ることで落ちることなく、むしろ、昨晩より、翌日の朝の方が成績がよくなっていました。
ところが、レム睡眠になった途端に起こすことで、寝ている間にレム睡眠を全く取らないようにすると、翌朝の成績は昨晩より悪くなったのでした。
レム睡眠を取らないと、脳でスキル獲得が定着しないのですね。
レム睡眠以外の時間はノンレム睡眠です。
ノンレム睡眠を取らせない実験もしています。
ノンレム睡眠は睡眠の深さで4段階に分かれていて、どの段階かは脳波で判別できます。
最も浅い第1段階では、4~7Hzのシータ波。
第2段階では、紡錘波と呼ばれる特徴的な脳波が現れます。
第3段階と最も深い第4段階では、0.5~4Hzのデルタ波が見られ、その頻度で第3段階と第4段階が区別されます。
実験で、ノンレム睡眠時の脳波にデルタ波が現れる第3段階と第4段階の深さにならないようにして、スキル獲得の様子を調べました。
すると、ノンレム睡眠を取らないようにしても、スキル獲得は通常睡眠とさほど変わりはありませんでした。
ということで、レム睡眠がスキル獲得や学習に大事だということが分かったのです。
レム睡眠を取るには、寝る時間は固めて長く
レム睡眠は明け方に向けて(就寝から時間が経つほど)長くなる傾向があります。
また、寝ている途中に目が覚めると、レム睡眠のリズムもリセットされるようです。
ですから、1日の中で分けて睡眠を取るよりも、寝る時間は固めて長く寝るとよさそうですね。
レム睡眠であるかどうかは本人には分かりませんが、目玉が動きますので端から見ると分かります。
お子さんがおられる場合、スキル獲得や学習の妨げにならないよう、レム睡眠時には起こさないのが得策かと思われます。
【原論文】
脳科学で生活にうるおいを!
では、また!
(了)
無料メルマガ 武永隆の【1分脳コラム】 (ほぼ週刊)
ご登録はこちら ↓↓↓↓↓
https://www.brain-world-plus.com/mailmagazine/
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
武永隆の脳ブログ 「右目は左脳、左目は右脳、ではありません」
武永隆の脳ブログ 「類人猿分類でコミュニケーションをステップアップ」
武永隆の脳ブログ 「対人関係改善に、岡田斗司夫の4タイプ分類」
武永隆の脳ブログ 「金正男氏暗殺?に使われたVXガスとは何か」
武永隆の脳ブログ 「覚醒剤はドーパミンをだだ漏れ状態にする」
武永隆の脳ブログ 「テキパキできなくても頑張れば大丈夫(多重課題と前頭前野)」
武永隆の脳ブログ 「『アメリカ人は気軽に精神科医に行く』を読む」
ブログランキングに参加しています!
にほんブログ村