右脳左脳ネタ(笑)
左脳は論理的な処理をするが、右脳は直感的・感情的な処理をする。
日本人は左脳ばかり鍛えて創造力に乏しい。
だから、右脳を鍛えましょう。
などという、右脳左脳ネタは、もちろん疑似科学です。
ただ、右脳と左脳が全く別物ではないにしても、多少の違いがあるとは思います。
その違いが小さいからこそ、右脳と左脳の違いがまだ明らかになっていないとも言えます。
当初は、例えば、言語に障害のある患者さんが亡くなってから脳を調べたら左脳に脳梗塞が見つかったというように、死後に脳を調べるアプローチが主流で、研究がなかなか進んでいませんでした。
右脳と左脳の違いを調べる研究が進んだのは、治療の過程で右脳と左脳をつなぐ脳梁(のうりょう)を切断する処置が取られてからです。
てんかんと離断脳
脳梁を切断した脳を、離断脳と言います。
脳梁を切断しても、日常生活では特に困ったことにはなりません。
脳梁は、右脳と左脳を神経連絡するのに大事なのですが、どうして、その脳梁を切断するような処置を取られることがあるのでしょうか?
それは、てんかんの治療などで改善がみられるからなのです。
てんかんの部分発作では崩れ落ちるように転倒します。
一方、ばたんと倒れる転倒発作では、この脳梁離断が有効で、脳梁を前から後ろまで完全に離断する全脳梁離断では 90%以上で転倒発作が無くなるとされています。
実際の手術では、おでこの上あたりで、右脳か左脳のどちらか一方に対して、脳の覆う髄膜と脳実質(前頭葉)の間を慎重に分け進めて脳梁にたどり着き、吸い取る形で脳梁を切断するようです。
左脳は言語処理、右脳は図形処理がやや得意(離断脳での実験)
さて、右脳も左脳も基本的に似た情報処理機能をもっているわけですが、得意不得意に若干の差がみられるものもあります。
文字認識と図形認識が右脳と左脳で違いがみられるかどうかを、離断脳で調べた実験をご紹介しましょう。
右視野と左視野を区別する実験では、モニターの真ん中に注視点が表示され、視線を移動してもよいという指示がない限り、ずっと見続けていなければいけません。
そうすると、右目も左目も、右視野の視覚情報は左脳に、左視野は右脳にちゃんと送られます。
スペリーの離断脳患者(脳梁を切断した患者)の実験では、被験者が注視点に視線を向けている間に、右視野(処理は左脳)や左視野(処理は右脳)に文字や記号を瞬間呈示して、正答率を調べました。
すると、左脳が文字認識にやや優れているのに対し、右脳は図形認識にやや優れていることが分かったのです。
このことは、スペリーの離断脳患者の実験だけでなく、健常者を被験者とした複数の実験も通して了解事項に至っています。
もちろん、左脳は図形の認識が全くできないとか、右脳は文字認識が全くできないということはなく、どちらかというと、という程度の違いに過ぎません。
そもそも、健常者では、脳梁を介して右脳と左脳の情報が常にやり取りされていますから、どちらかだけで処理するということ自体がありえませんから。
動作では、右半身は左脳が、左半身は右脳がという明確な左右差はありますが、スペリーの実験で調べたような文字や図形の認識では、右脳と左脳のどちらかが得意ということはありそう、ということなのです。
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では、また!
(了)
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