前々回、右脳と左脳は、例えば運動や感覚の面で同じ機能を持つ脳領域が左右対称に位置しており、左脳が右半身を、右脳が左半身を担当しているという違いしかないケースが多い。
そして、そのような左右の分担する必要がない、話をするなどの機能は、右脳と左脳のいずれかが「主」として機能し、もう片方が「従」として機能するのではないか、ということを書きました。
今回は、その「話す」機能を担う運動性言語中枢(ブローカ野)の発見などについて、簡単に触れておきたいと思います。
ブローカ野とウェルニッケ野
言葉に関する脳領域ですが、以下の2つの領域に分かれています。
話すための脳領域 = 運動性言語中枢、ブローカ野
聞いて理解するための脳領域 = 感覚性言語中枢、ウェルニッケ野
そして、ちょっと意外かもしれませんが、この2つの領域は割と離れています。
話すためのブローカ野は前頭葉に、聞いて理解するためのウェルニッケ野は側頭葉にあります。
ちょっと考えると、「話す」のは、口や舌を動かすので運動野が関わるわけですから、「聞く」ための脳領域と離れていてもそれほど不思議はないのですが。
ブローカ野は運動性言語中枢なので、ダメージを受けた場合、聞く言葉は理解出来るものの、うまく話せなくなります。
ブローカ野の発見
1861年のこと。
一風変わった患者さんが、脳外科医ブローカ先生のところに来ます。
聞いた話は理解できているようですが、「タン、タン」という言葉しか発しません。
その患者さんが亡くなった後、脳を解剖したところ、左脳に損傷部位が見付かりました。
話すための脳領域は、左脳にあることが分かったのです。
運動性言語中枢、ブローカ野の発見です。
その後の展開
「左脳は論理的」とする見方では、この言語中枢が左脳にあるのを根拠にすることがありますが、
飛躍が過ぎると思います。
言語野も一筋縄とはいかず、右脳も関係していることも分かってきました。
ちなみに、ブローカ野の発見は、話すための脳領域の発見であると同時に、脳は脳領域によって異なる役割があるという、今では当たり前となっている「脳の機能局在」の発見でもあり、歴史的な出来事だったのです。
ただ、患者の脳を死後に調べるアプローチでは、右脳と左脳の違いをいろいろと試すこともできず、なかなか進展しませんでした。
そうこうしているうちに、てんかんの治療で右脳と左脳をつなぐ脳梁を切断する処置が施されるようになり、その離断脳の患者さんに協力してもらって、右脳/左脳の研究が進められることになります。
言語野の続きや離断脳の話は、また今度。
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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