脳科学者は「脳科学」という言葉を避ける傾向にある
意外かもしれませんが、脳や神経の研究者は、自分の専門分野を「脳科学」と言ったり、自身を「脳科学者」と言ったりすることを避ける傾向にあります。
何だか不思議ですよね。
研究現場にいる私(武永)も同じ業界の人間として、その気持ちがよく分かります。
ただ、私(武永)が一般の方に自己紹介するときには、「脳科学者」という肩書きを使うことも割と多いです。
それは、「脳科学」が一般の方にとっては人口に膾炙した言葉だと思っているから。
ちょっと気を使っているとすれば、「脳」ではなく「農」を思い浮かべられる方が、意外と多くおられるので、「脳科学」を専門にしているというとき、自分の頭を指すようにしています。
すると、「農」と間違われなくなります。
それはさて置き、なぜ脳科学者は脳科学という言葉を避けるのか、ということについて思うところを書いてみましょう。
脳科学者の間では「脳科学」という言葉を使うことはない
脳科学者自身が「脳科学」という言葉に慣れていない、と聞くと意外に思われるかもしれませんね。
でも、実際のところ、あまり慣れていません。
というか、自分たちで使う機会がほとんどないのです。
例えば、脳科学者が所属する学会の名称をいくつか挙げてみましょう。
とりあえず基礎的な研究を中心とした学会
・日本神経科学学会(医学・生物学系)
・日本神経化学会(化学系)
・日本神経心理学会(高次脳機能障害を中心として)
・日本神経回路学会(工学系)
臨床的な研究を中心とした学会
お気付きのように、「脳科学」という言葉が入っていませんね。
「あれ? 日本脳科学会というのはないの?」と思われたかもしれませんね。
そうなのです。「日本脳科学会」というのは存在しないのです。
とは書きましたが、念のためにお調べしましたところ、、、
実は、存在していました(汗)。
グルタミン酸の脳への影響などを研究者として知られる、林髞(はやしたかし)慶大医学部教授の設立された「中枢作用物質研究会」が、いくつかの改名を経て、1995年、「日本脳科学会」に。
ということで、「日本脳科学会」は存在していますし、ちゃんとした学会ではあります、、、が、あまりメジャーな学会ではありません。
つまり、研究者集団で学会名にすら「脳科学」という言葉はほとんど出てきません。
「脳科学(brain science)」を使わないのは、日本だけではない
これ、日本だけのことではありません。
例えば、毎年アメリカで開催され、全世界から脳や神経の研究者が2万人以上も集まる学会を主催する SfN(Society for Neuroscience)は、北米神経科学学会です。
ヨーロッパにも似たような FENS という組織がありますが、Federation of European Neuroscience Societies、つまり、日本語で、ヨーロッパ神経科学連合となります。
いずれも、neuroscience(神経科学)という単語こそあれ、brain(脳)という単語は含まれていませんね。
学会名で見てきたように、脳科学者は、普段の生活圏である学会や研究現場で「脳科学」という言葉に触れる機会がほとんどなく、実は馴染みが薄かったりするのです。
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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