慢性疲労症候群とは
いつも疲れた感じがする。
疲れていて、うっかりミスが多い。
忙しくて休む暇もない。
休んでも疲れがとれない。
多くの方が感じておられるかもしれませんが、仕事や生活に支障が出るレベルになると、慢性疲労症候群と診断され、治療が必要になる場合があります。
慢性疲労症候群の症状は以下のような感じ。
・極度な疲れが続く
・記憶や注意といった認知機能の低下
・長時間寝てしまう
(寝ても疲れがとれない)
・微熱、頭痛、など
原因が分かっていないので、治療も難しいとされます。
20代~50代に多いですが、子どもにみられる場合もあります。
診断基準は大人とほぼ同じ。
違うと言えば、症状の持続期間が大人のは「半年」以上なのに対して、子どもは「3ヶ月」以上と短くなっているくらいです。
原因不明ではありますが、脳との関連も指摘されていて研究されています。
疲れやすい脳はマルチタスクで過活動になっていた(実験)
先頃、小児慢性疲労症候群(CCFS)の患児を対象とした研究論文が発表されました。
2つのタスクを同時にこなす二重課題に取り組んいる間に、脳の活動を fMRI で計測します。
ちなみに、実験に使われた課題は、仮名ひろいテスト。
認知症や事故による高次脳機能障害での注意機能の検査などに使われます。
仮名ひろいテストでは、ひらがなの文字列や文章から、母音(あ・い・う・え・お)を拾います。
ご興味のある方、以下のサイトで例が見られます。
今回の実験では、以下のようなパネルを20枚ほど被験者に見せます。
パネル1 「まりこ は」
パネル2 「みつめた」
パネル3 「あおい」
パネル4 「うみ を」
そして、3パターンの課題に取り組んでもらいます。
1)母音ひろい 各パネルで母音が含まれていたら、左のボタンを押す。
2)内容理解 20枚のパネルを見たあとで、4つの質問に答える。
3)母音ひろい + 内容理解(二重課題) 1)と2)を同時に行う。
脳活動をCCFS児と健常児とで比較すると、CCFS児では、一重課題でも二重課題でも、右脳の前頭葉にある中前頭回が強く活動していました。
二重課題では、さらに、前帯状回背側部と左脳の前頭葉の中前頭回もCCFS児で強く活動していました。
背側部というのは、頭のてっぺん側という意味なので、図で示された領域の中で、頭のてっぺん側の部分ということです。
CCFS児は脳の機能低下をカバーすべく、健常児よりも前頭葉を過剰に使っていて、その過剰な脳活動が慢性的な疲労の元になっていることを示唆する結果です。
Mizuno K, et al. (2015)
Less efficient and costly processes of frontal cortex in childhood chronic fatigue syndrome.”, Neuroimage: Clinical 9: 355-368.
脳をマルチタスクから解放する時間を
情報過多の中で、大人も子どもも慢性的に疲れ気味なこのご時世。
いろいろ気にすることが多過ぎて脳が疲れて悲鳴を上げているのかもしれません。
どうも疲れるなと思ったら、前頭葉が上手く働かなくなっている可能性があります。
今回の実験で、小児慢性疲労症候群の子どもは二重課題に取り組むと、脳が過剰に活動していることが分かりました。
脳に負荷をかけるという点では、二重課題、マルチタスク(多重課題)、平行処理は脳を鍛えるのによいです。
ただ、脳の疲れが疑われるときは、マルチタスクは控えて、一つのことに集中するようにしましょう。
何かを気にかけながら仕事や勉強をするのもマルチタスクです。
例えば、いつもメールやSNSを気にかけていると、常に二重課題に取り組んでいることになり、パフォーマンスが下がります。
子どもが一日中スマホを気にしているのは、まだ脳の発達が未熟なのに常に二重課題をしていることになり、あまり望ましくないかと。
何かに没頭する時間を取ることで、脳をマルチタスクから解放し、集中力も高められます。
情報を遮断してボーッとしたり、瞑想したりするのもオススメです。
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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