モノクロニックとポリクロニック
あなたは、作業を進めるときなど、以下のどちらのタイプですか?
一つのことに集中するタイプ
いくつかのことを同時進行するタイプ
私(武永)は、移り気な性格のせいか、どちらかと言うと後者のように思われます。
パーソナルスペースで有名なアメリカの文化人類学者のエドワード・ホール(Edward Hall)は、空間だけでなく、時間についても検討し、先の2つでタイプ分けをしています。
モノクロニック(monochronic):一つのことに集中するタイプ
ポリクロニック(polychronic):いくつかのことを同時進行タイプ
それぞれの頭についている、モノ(mono) は「1つの」、それと、ポリ(poly) は「たくさんの」という意味です。
共通している、クロニック(chronic)は、ギリシャ語で「時間の神」である、クロノスに由来していて時間を意味します。
モノクロニックとポリクロニックは人それぞれですが、お国柄や、文化の影響も強いのだとか。
(ご参考)
久米昭元、長谷川典子『ケースで学ぶ異文化コミュニケーション—誤解・失敗・すれ違い』
作業の切替えに影響する「注意の残像」
モノクロニックとポリクロニックの違いには、集中の持続が影響しています。
モノクロニックな方は、一つのことに集中して効率よく仕事ができます。
しかし、私(武永)を含めて多くの方は、集中力があまり続かず、結果的に、いくつかのことを同時進行するポリクロニックになっているのではないでしょうか?
これは、脳の飽きっぽいクセに対応した戦略と言えます。
集中力が強ければ、まとまった仕事として完了できますので、いくつかのことを同時進行する必要はありません。
一方で、集中力が続かないのは脳が飽きてしまっているわけですから、他の作業に切替えることでリフレッシュしてまた集中できます。
それぞれの作業が細切れになってしまいますが、いくつかのことを同時進行することで全体として効率を上げることができるのです。
このときに注意したいのが、作業を切替えるときに発生する「注意の残像」。
「注意の残像」とは、前の作業イメージが、次の作業に与える影響のことです。
せっかく他の作業に移っても、注意の残像が新しい作業の邪魔をして効率が落ちてしまっては残念です。
では、どうしたらよいのでしょうか?
締切効果は頭の切替にも有効
時間制限を課す、つまり締切効果が有効であることを示した実験があります。
被験者には、以下の順に作業を行ってもらいます。
タスクA → 語彙テスト → タスクB
語彙テストでは、単語に対する反応の速さを測ります。
直前に作業したタスクAと関連のある言葉を示して、反応がどれくらい速いかを調べて、タスクAの影響、つまり、注意の残像の強さを測るわけです。
実験の結果、タスクAで時間的なプレッシャーを与えると、注意の残像が少なくて、しかも、その後に取り組むタスクBの出来もよいということが分かったのです。
時間を守って作業が終えられたという完遂感や満足感によってスッキリして、頭の切替えがよくなるのだと考えられます。
締切効果は、進行中の作業効率を上げるだけでなく、次の作業への頭の切替もよくしてくれるのですね。
ポリクロニックなお仲間の皆様、締切効果を有効に使って頑張りましょう。
【原論文】
Sophie Leroy. (2009)
“Why is it so hard to do my work? The challenge of attention residue when switching between work tasks”
Organization Behavior and Human Decision Processes 109: 168-181.
doi:10.1016/j.obhdp.2009.04.002
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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