快楽は効果的なインセンティブ
何か新しい習慣を付けようと思っても、いつの間にか忘れてしまっている。
よくありますよね?
身につけたいけど難しい「習慣化」は、関心の高いテーマでもあります。
習慣化するには、何らかの仕組みが必要だとよく言われます。
仕組みにもいろいろありますが、効果的なものの一つは、ご褒美。
これが出来たらアレが手に入ると思うと、よし頑張ろう、という気になれます。
ご褒美を得るときの快楽をインセンティブにするわけですね。
インセンティブとしての快楽は非常に強力です。
ご褒美は不定期な方がより効果的 (ラットの実験)
それでは、ご褒美はいつもらっても効果は同じなのでしょうか?
頑張ったら毎回もらうのと、ときどきもらえる不定期なのとでは違いはないのでしょうか?
これを調べた1950年代に行われたラットの実験があります。
スロープを下りるとエサがもらえるのですが、
1)下りるたびに毎回エサがもらえる
2)下りたうち、30%の確率でエサがもらえる
の2つのパターンでラットに学習させます。
2つのパターンとも、エサをもらうために、ラットはせっせとスロープを下っては戻ります。
ここで、あるとき、スロープを下ってもエサを全くあげないようにします。
そして、その後のラットの行動を観察。
すると、
1)の毎回エサをもらっていたラットは、エサがもらえなくなって1、2回くらいでスロープを下りなくなってしまいました。
定期的なご褒美は、頑張ることとご褒美の結びつきが強いので、ご褒美がなくなった瞬間にやる気がなくなる、つまり、インセンティブとしては弱いことが分かります。
一方、2)の30%の確率で不定期にエサをもらっていた方は、エサがもらえなくなって10回くらいではそれほど変わらず、20回くらいでもまだスロープを下り続けたのです。
毎回のご褒美よりも不定期な方が頑張りが持続する、つまり、インセンティブが強いのですね。
この実験では、毎回のエサと不定期を比べていますが、毎回でないにしても定期的では、エサがもらえなくなると割と早くに諦めてしまうことも分かっています。
つまり、不定期なご褒美だと、インセンティブが強くより頑張れるのだと考えられます。
定期的なご褒美のが学習の強化によさそうな気もしますが、不定期の方が効果的なのですね。
依存症はフェードアウトではなくシャットアウトで治す
実は、このラットの実験は、依存性に関する実験の一環でした。
つまり、アルコール依存やギャンブル依存といった依存症では、不定期に快楽を得ると依存性が強化されるということが示唆されたわけです。
例えば、アルコール依存症を治すにはどうするかご存知でしょうか?
端的に言うと、「断酒」です。
次第にフェードアウトしながら、では断酒はできません。
断酒の治療では、すっかりお酒を断ってもらいます。
すると、少し経って、離脱による禁断症状が出ます。
これを乗り越えるのが大変辛い。
なので、同じ目的をもった者同士の自助グループや家族の支えが助けとなります。
どうして、フェードアウトでなく、すっかり断酒する必要があるのか。
ラットの実験でも見られたように、たまに得られる快楽は、むしろ依存を強化してしまうからです。
依存症は、徐々に遠ざけるのではなく、すっかりやめてしまうのがポイントなのです。
タバコをやめたいけど、たまにご褒美的に吸う。
子どもがオモチャをねだってきて、面倒だからと、たまに買ってあげる。
別れたい人が会って欲しいとしつこいので、たまに会ってあげる。
これらは全て、しつこい相手の依存性を強化しているだけだったのですね。
フェードアウトという考え方は忘れてシャットアウトしましょう。
しつこい相手の終わらせ方、のお話でした。
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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