上達の速い人、遅い人
私(武永)は音楽を聴くのが好きです。
高校を卒業するまでは、ほぼクラシック音楽のみ。
偏っていますが、家庭環境の影響と思われます。
父も母もクラシック音楽が好きで、父の車に乗ったときには、チャイコフスキーやモーツアルトが
よくかかっていました。
私(武永)が自分から意識的に聴き始めたのは、小学5年生の頃だったでしょうか。
音楽は好きでしたが、音楽系の習いものの定番であるピアノすら習ったことがありません。
妹はピアノを習っていて、練習しているのをよく聞いていました。
当時は別に習わなくても何とも思っていなかったのですが、大学生になった頃でしたか、
ピアノを習っておけばよかったなと、時折、悔やむことも。。
誰も弾いていないときに、遊びで弾いてみたりはしました。
両手で同時に弾くのはかなり難しく、自由自在に弾ける人が信じられません。
ピアノに限らず、また、楽器の演奏に限らず、何でも上達の速い人もいれば、遅い人もいますよね。
ピアノの上達が速いかどうかは、脳を調べたらわかる【実験】
カナダの研究者らが、ピアノの上達と脳活動の関係を実験で調べました。
被験者は、音楽的な背景のない 20-34歳の男女15名(平均25.6歳)。
脳の活動は、fMRI(ファンクショナル・エムアールアイ)で計測しています。
f が付かない、ただのMRIは脳の構造だけ調べます。
f は機能的(functional)という意味で、f が付きますと脳の血流を計測します。
脳の活動が強い所は、栄養も酸素も使うので血流も増えます。
ですから、血流を計測することで、脳活動を計測できるというわけです。
実験の結果はどうだったでしょうか?
まず、ピアノの練習後に活動が強くなった脳領域は以下の通りでした。
・背側運動前野(dorsal premotor cortex)
・後頭頂小葉(posterior parietal cortex)
・小脳(cerebellum)
いずれも、運動に関わる領域で、指の運動が上達したと考えられます。
面白いのは、上達の速い人と遅い人の違い。
ピアノの練習をする前に、音楽を聞いているときの脳活動を調べてみました。
すると、ピアノ演奏の上達が速かった人ほど活動が強かった脳領域が見付かりました。
それは、、、
・横側頭回(Heschl’s gyrus)
音を注意深く聞くときに関わる脳領域
・海馬(hippocumpus)
メロディーの記憶に関わる脳領域
・腹側運動前野(mid-premotor cortex)
メンタルイメージや音と運動の統合に関わる脳領域
・尾状核(caudate neuclei)
一連の運動の学習に関わる脳領域
上達が速い人というのは、音楽を聞いただけで音楽に関係する脳領域だけでなく、
運動に関わる脳領域まで強く活動するのですね。
他の楽器の演奏経験はないわけですから、いわゆる素質ということなのでしょう。
聞いただけで体が動いてしまうような人は、楽器の演奏の上達が速いのかもしれませんね。
カスタマイズ型ニューロマーケティング?
近年、アメリカを中心として進められているニューロマーケティングでは、CMなどの制作過程で
それを見た被験者の脳の活動を脳波などを参考により効果的なものを作ろうとしています。
ただ、それらはまだ、大勢の人に売ることを念頭に置いた戦略と言えます。
今回ご紹介した実験から、個々の潜在的な能力や感性に合わせた、いわば、カスタマイズ型
ニューロマーケティングの実現がそう遠くないと期待されます。
習い事などで、事前に脳活動を調べて、
「お子さんは上達が速い脳活動をしています。習わせてはいかがですか?」
みたいに勧める。
また、商品の対面販売で
「お客様の脳の活動ですと、意外にこちらが合いそうな反応となっております」
といった具合に、個々人の感性に合わせた提案をする。
このような光景が当たり前になるかもしれませんね。
ニューロマーケティングの動向も注視していきたいものです。
【原論文】[open access]
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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