腰痛の常識は間違っていた!
先日、NHKで腰痛についての番組がありました。
NHKスペシャル「腰痛・治療革命 ~見えてきた痛みのメカニズム~ 」
日本の腰痛患者は 2800 万人で、その半数が3ヶ月以上痛みの続く慢性腰痛。
腰痛と言えば、以下のように考えがちですよね?
・ぎっくり腰は、痛みが取れるまで安静に
・ヘルニアだと腰痛と一生の付き合うことに
・腰が痛い時は、コルセットをする
・腰痛の原因はすべて腰の異常
でも、全て「間違い」なのだそうです。
加齢による骨の変形は、顔のシワのように当たり前のことで、腰痛がない人にもほとんど見られます。
さらに、変形したヘルニアの9割は自然に消失します。
腰痛だからといって、じっとしていては悪化するばかり。
最近の治療方針は、手術よりも、痛みを怖がらずに動くことを推奨しています。
番組では、1回3秒、背中を反らす「これだけ体操」が勧められていました。
脳と腰痛の意外な関係
慢性腰痛の意外な原因として考えられているのが、脳。
そもそも、痛みは脳で感じるわけですから、当然といえば当然です。
やっかいなのが、腰痛の後、腰の状態がよくなっても脳が痛みを感じさせ続ける場合があること。
痛みを感じるときに活発に活動する脳領域がいくつかあります。
そして、痛みの感覚を抑える領域もあり、その一つが背外側前頭前野(DLPFC)です。
※ DLPFC(Dorso-Lateral Prefrontal Cortex)
DLPFCはワーキングメモリなどに関わっている脳領域で、こめかみの上辺りにあります。
慢性腰痛の患者さんの脳を調べると、このDLPFCの働きが衰えていました。
腰は大丈夫なのに、脳が幻の痛みを作り出しているようなものです。
幻の痛みというのは架空のものではなく、実際にそれに苦しむ方がおられます。
腕や脚を失った方が、存在しない腕や脚に痛みを感じる「幻肢痛」はその一つ。
腰痛に対する恐怖やストレスが、DLPFCの活動を抑え、腰痛を悪化させているのです。
慢性腰痛ではその半数が幻の痛みだとする見方もあります。
腰痛も気から? 意識を変えて、体を動かしましょう
先に挙げました、背中を反らす「これだけ体操」は、腰を動かす運動という意味だけではありません。
腰を動かしても大丈夫という安心感を無意識に植え付ける効果も大きいのです。
実際、番組ではそのような安心感を与える映像を見ただけで慢性腰痛患者の 38%が改善したと紹介していました。
オーストラリアは国をあげて腰痛改善に取り組んでいて、認知行動療法が導入されています。
3週間のプログラムでは、毎日、カウンセリングと運動を1時間ずつ繰り返します。
カウンセリングでは、恐怖や痛みの原因を探るべく語り合います。
運動では、動いても痛くない経験を重ねます。
運動の度に数値を記録して、それが励みになっています。
カナダはマギル大学の Seminowicz 博士らの論文によると、慢性腰痛の患者さんは
左脳の DLPFC の厚さが薄くなっていて、痛みが強い患者さんほど薄かったそうです。
そして、6ヶ月の治療後に計測すると、DLPFCの厚さが健常者のレベルに回復していたとのこと。
DLPFCが慢性腰痛に関係してるのは疑いないようです。
しかし、痛みが脳の構造や機能まで変えてしまうなんて!
日本の腰痛診療ガイドラインでも、認知行動療法は「強く推奨できる」にランクされています。
ただ、整形外科では保険診療の適用外で、日本で実施している施設は少ないそうです。
今回は、腰痛ですら、脳の機能と関係が深いことをご紹介しました。
脳のことを知って考えないといけない分野はどんどん広がっています。
ビジネスも同じこと。
脳を知って、ビジネスに活かしましょう。
(了)
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