フロイトによる心の階層構造
フロイトの精神分析学は、彼が発見した無意識に依拠しています。
オーストリアの精神分析学者であるフロイトは、
心の構造を「意識」「前意識」「無意識」という階層で捉えました。
前意識というのは、その無意識と意識の間で、
まだ意識のレベルには上がっていないのだけれど、何らかのきっかけで意識に上る状態です。
以下のように、氷山に喩えられることも多いです。
「意識」:海上に出ている一部分
「前意識」:海中部分だけど海面に近い部分
「無意識」:海中にある大部分
状態としては、
「意識」⇔「前意識」⇔「無意識」
のように遷移します。
「心の階層構造」を「球技」に対応させてみる
以前、このブログで、脳が意識や注意が1つのことにしか向けられないことから、
「脳は球技をしている」というメタファーを提案しました。
武永隆の脳ブログ「脳は球技をしている」(2015年5月20日)
心の階層構造を球技に対応させ、それぞれ、「ゲーム」「アップ」「オフ」とします。
「意識」=「ゲーム」:ゲームをしている状態
「前意識」=「アップ」:アップしている状態
「無意識」=「オフ」:しばらくアップもしていない状態
意識に上った状態はゲームをしているわけですから、
プレーヤーも観客も一つのボールに集中しています。
でも、ひとしきり楽しんだら、そのうち飽きてきて、他の球技がしたくなるもの。
次に「ゲーム」に昇格するのは、「アップ」状態の球技。
つまり、前意識に上ったものです。
いきなり「オフ」状態からゲームをするのはキツいですからね。
つまり、
「ゲーム」⇔ 「アップ」 ⇔「オフ」
といったように、状態が移り変わるわけです。
なので、相手の脳で、
今どんな球技がゲーム中なのか?
(何に意識が向いているのか?)
そのゲームはどんな進行状況なのか?
(始まったばかり?、飽きてきている?など)
次にゲームが始まりそうでアップしている球技は何なのか?
(何に関心がありそうなのか?、本来の目的は?など)
という、相手の脳の意識レベルや前意識レベルでの状態を見極めることが大切なのです。
相手が何を考えているのかという意識レベルのことを注意されている方は多いかと思います。
しかしそれだけでなく、相手がこれから向かう先の「前意識」をどれくらい読めるかで差がつきます。
相手の前意識を探るには?
相手が意識していることや前意識を探るには、どうしたらよいでしょうか?
それは、「観察力」と「想像力」です。
物販の店員であれば、お客さんがどんな物に目線を向けているかをしっかりと観察しましょう。
お客さんが意識していなくても目がいってしまうことが多々あります。
もちろん、会話も大事な観察対象です。
ポイントは、何かを求めるに至った源であるモチベーションを想像すること。
そのモチベーションがあってこそ、必要が生じたわけですから、
お客さんの満足度を高められるサービスを提供できるチャンスです。
お客さんが必要だとイメージされている物を上回る物を提案できたり、
そのモチベーションを達成するための付加的な情報を提供できるかもしれません。
お客さんが具体的に探しているものを want、そもそものモチベーションを wish として、
wish の把握を心掛けましょうとも言われますね。
その wish は前意識の大切な要素なのです。
行動観察や会話などを通して、前意識のレベルまで広くイメージすると、
円滑なコミュニケーションが取れて、顧客満足度にもつながります。
まさに、一枚上の接客術なのです。
(了)
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